小学校でのネットリテラシー教育の必要性とは？実状や効果的な始め方を解説

SNSによるトラブル事例

小学生のSNSトラブルは年々増加傾向にあり、その事例は多岐にわたります。おもな事例として以下が報告されています。

これらのトラブルは一度起きると取り返しがつかないケースも多く、投稿の削除を依頼しても、すでにスクリーンショットで拡散されているといったことも起きています。

ゲームやアプリ課金の状況

小学生の間でスマートフォンゲームやアプリの課金トラブルが深刻化しています。保護者のクレジットカード情報を無断で利用し、フリマアプリでの取引でトラブルに巻き込まれるケースが増加傾向にあります。おもな課金トラブルと対策は以下のとおりです。

実際の被害事例では、小学生が1回の課金で数万円、累計で数十万円の支出をしてしまうケースも報告されています。

個人情報流出の危険性

小学生のスマートフォン所持率が年々増加する中、個人情報流出に関するトラブルが深刻化しています。とくに以下の3つのケースで個人情報が漏洩するリスクが高まっています。

このような状況から、写真投稿時の注意点確認やプライバシー設定の適切な管理、アプリのダウンロード時の権限確認が重要です。

情報モラル形成の適切な時期

小学生は、自己と他者の区別や社会的なルールを理解し始める重要な発達段階にあります。この時期は情報モラル形成に最適な時期といえます。

とくに小学校中学年（3～4年生）は、基本的な情報モラルの理解が可能になる時期です。この年代では、インターネット上の情報の真偽を判断する力や、個人情報を守る意識が芽生え始めます。

また、高学年（5～6年生）になると、より複雑な情報モラルの理解が可能になります。SNSでのコミュニケーションルールや、著作権の基本的な概念を学ぶのに適した時期です。

さらに、この時期は好奇心が旺盛で新しい知識を吸収しやすい点が特徴です。そのため、情報モラルに関する基本的な知識を、ゲームやグループワークなどの体験的な学習を通じて効果的に習得できます。

このように、小学生期は情報モラルの基礎を形成する重要な時期であり、早期からの体系的な教育が推奨されます。

トラブル予防効果の高さ

小学生のうちにネットリテラシー教育を実施することで、以下の予防効果が期待できます。

早期教育を実施することで、インターネット利用に関するさまざまなトラブルを効果的に予防できます。とくに、習慣形成の時期である小学生のうちに正しい知識を身につけることで、その後の安全なインターネット活用にもつながります。

家庭内ルール作りのタイミング

家庭内でのネットリテラシーに関するルール作りは、子供が一人でインターネットを利用し始める時期が最適です。具体的には、スマートフォンや家族共有のタブレットを使い始める時があげられます。

効果的なルール作りのためには、子供と一緒に話し合いながら決めていくことが大切です。以下の項目について、具体的な取り決めを行いましょう。

• 利用可能な時間帯と一日の利用時間
• 利用できる場所
• ダウンロードできるアプリの基準
• 個人情報の取り扱い方

とくに重要なのは、ルールを決めっぱなしにせず、子供の成長に合わせて定期的な見直しの機会を設けることです。

学習指導要領における位置づけ

平成29年から順次実施されている小学校の新学習指導要領では、情報活用能力が「学習の基盤となる資質・能力」として明確に位置付けられています。おもな取り組みは以下の通りです。

各教科の特性に応じた情報活用も重視されており、教科横断的な情報活用能力の育成を目指しています。

保護者との連携状況

小学校でのネットリテラシー教育では、保護者との連携は必要不可欠です。現在、保護者との連携はおもに以下の形で行われています。

しかし、共働き家庭の増加により保護者の時間確保が難しく、講習会への参加や教材の活用が十分とはいえない状況です。とくに平日開催の講習会では参加者が限定的となり、教材も十分に活用されていないケースが報告されています。

このような状況を踏まえ、オンライン講座の導入やデジタル教材の充実など、より参加しやすい形態での教育支援が求められています。