小学校でのネットリテラシー教育の必要性とは？実状や効果的な始め方を解説

SNSによるトラブル事例

小学生のSNSトラブルは年々増加傾向にあり、その事例は多岐にわたります。おもな事例として以下が報告されています。

トラブルの種類	具体的な事例
いじめ・誹謗中傷	・匿名を利用した悪質な書き込み ・感情的な言葉の応酬やグループでの仲間外れ
権利侵害	・友だちの写真無断投稿 ・著作物の無断使用や学校行事の無許可投稿

これらのトラブルは一度起きると取り返しがつかないケースも多く、投稿の削除を依頼しても、すでにスクリーンショットで拡散されているといったことも起きています。

ゲームやアプリ課金の状況

小学生の間でスマートフォンゲームやアプリの課金トラブルが深刻化しています。保護者のクレジットカード情報を無断で利用し、フリマアプリでの取引でトラブルに巻き込まれるケースが増加傾向にあります。おもな課金トラブルと対策は以下のとおりです。

トラブル種別	具体例	推奨される対策
ゲーム内課金	・無料表示ゲームでの高額課金 ・ルートボックスでの過剰支出	・ペアレンタルコントロール設定 ・課金制限機能の活用
アプリ内課金	・有料スタンプの購入 ・プレミアム会員登録	・アプリ購入時の認証設定 ・定期的な利用確認

実際の被害事例では、小学生が1回の課金で数万円、累計で数十万円の支出をしてしまうケースも報告されています。

個人情報流出の危険性

小学生のスマートフォン所持率が年々増加する中、個人情報流出に関するトラブルが深刻化しています。とくに以下の3つのケースで個人情報が漏洩するリスクが高まっています。

リスク区分	漏洩する可能性のある情報
画像・動画から	・写真に映り込んだ個人宅や塾の看板 ・部活動や習い事の活動場所 ・学校行事の様子
アプリから	・端末内データや位置情報 ・クレジットカード情報

このような状況から、写真投稿時の注意点確認やプライバシー設定の適切な管理、アプリのダウンロード時の権限確認が重要です。

情報モラル形成の適切な時期

小学生は、自己と他者の区別や社会的なルールを理解し始める重要な発達段階にあります。この時期は情報モラル形成に最適な時期といえます。

とくに小学校中学年（3～4年生）は、基本的な情報モラルの理解が可能になる時期です。この年代では、インターネット上の情報の真偽を判断する力や、個人情報を守る意識が芽生え始めます。

また、高学年（5～6年生）になると、より複雑な情報モラルの理解が可能になります。SNSでのコミュニケーションルールや、著作権の基本的な概念を学ぶのに適した時期です。

さらに、この時期は好奇心が旺盛で新しい知識を吸収しやすい点が特徴です。そのため、情報モラルに関する基本的な知識を、ゲームやグループワークなどの体験的な学習を通じて効果的に習得できます。

このように、小学生期は情報モラルの基礎を形成する重要な時期であり、早期からの体系的な教育が推奨されます。

トラブル予防効果の高さ

小学生のうちにネットリテラシー教育を実施することで、以下の予防効果が期待できます。

予防効果の種類	具体的な内容	期待される効果
コミュニケーション	SNSでの適切な言葉遣い	誹謗中傷やいじめの防止
セキュリティ	個人情報の取り扱い方	情報流出リスクの低減
金銭トラブル	課金の仕組みの理解	過剰支出の抑制

早期教育を実施することで、インターネット利用に関するさまざまなトラブルを効果的に予防できます。とくに、習慣形成の時期である小学生のうちに正しい知識を身につけることで、その後の安全なインターネット活用にもつながります。

家庭内ルール作りのタイミング

家庭内でのネットリテラシーに関するルール作りは、子供が一人でインターネットを利用し始める時期が最適です。具体的には、スマートフォンや家族共有のタブレットを使い始める時があげられます。

効果的なルール作りのためには、子供と一緒に話し合いながら決めていくことが大切です。以下の項目について、具体的な取り決めを行いましょう。

• 利用可能な時間帯と一日の利用時間
• 利用できる場所
• ダウンロードできるアプリの基準
• 個人情報の取り扱い方

とくに重要なのは、ルールを決めっぱなしにせず、子供の成長に合わせて定期的な見直しの機会を設けることです。

学習指導要領における位置づけ

平成29年から順次実施されている小学校の新学習指導要領では、情報活用能力が「学習の基盤となる資質・能力」として明確に位置付けられています。おもな取り組みは以下の通りです。

観点	具体的な取り組み内容
プログラミング的思考	・プログラミング教育の実施 ・論理的思考力の養成
情報モラル教育	・段階的な情報モラルの理解 ・実践的な情報活用スキル習得
ICT活用スキル	・低学年：基本操作の習得 ・中学年：情報収集・整理 ・高学年：情報発信・共有

各教科の特性に応じた情報活用も重視されており、教科横断的な情報活用能力の育成を目指しています。

保護者との連携状況

小学校でのネットリテラシー教育では、保護者との連携は必要不可欠です。現在、保護者との連携はおもに以下の形で行われています。

連携形態	おもな内容
保護者向け講習会	・セキュリティ専門家による講演 ・トラブル事例の共有
家庭学習用教材	ワークシートやチェックリストの提供
情報共有	・児童の使用状況報告 ・トラブル時の早期対応

しかし、共働き家庭の増加により保護者の時間確保が難しく、講習会への参加や教材の活用が十分とはいえない状況です。とくに平日開催の講習会では参加者が限定的となり、教材も十分に活用されていないケースが報告されています。

このような状況を踏まえ、オンライン講座の導入やデジタル教材の充実など、より参加しやすい形態での教育支援が求められています。

お子様のネットリテラシー教育、その必要性は日々高まっていますが、小学校での教育だけでは少し心配…と感じる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
学校の実状として、授業時間や専門の先生の確保が難しく、常に最新のネット事情に合わせた指導が十分に行き届かないケースもあるようです。

そこでご提案したいのが、ご家庭でのアプリ活用です。なぜアプリを使ったネットリテラシー教育がいいのか、その理由をいくつかご紹介します。

• 手軽に始められる：アプリならスマホやタブレットがあれば、ご家庭のすきま時間を使って、いつでも気軽に始められる
• 子供が楽しく学べる工夫：ゲームやクイズ、可愛いキャラクターなどを通して、子供たちが「勉強」と感じずに、遊び感覚で大切なルールや知識を身につけられる
• 実践的な学び：「こんなメッセージが来たらどうする？」「この情報は信じていい？」といった具体的な場面を想定したクイズやシミュレーションで、実際のネット利用に近い形で危険回避の方法などを体験的に学べる
• 最新の情報に対応しやすい：ネットの世界は変化が早いが、アプリなら比較的新しい情報や注意点などを反映させやすい

もちろん、アプリだけですべて解決するわけではありませんが、ネットリテラシー教育の第一歩として、また学校教育を補うツールとして、アプリはとても有効な選択肢です。ぜひ、お子さんと一緒に楽しみながら学べるアプリを探してみてください。

Q1．家庭でのネットリテラシー教育はいつから始めるべき？

A．インターネットに触れる機会があれば、すぐにでも始めるべきです。低学年のうちは、パスワードの重要性や個人情報の保護など、基本的なことから教えましょう。年齢に合わせて段階的に学習内容を広げていくことが大切です。

Q2．フィルタリングは必要ですか？

A．有害な情報へのアクセスを制限するフィルタリングは、低学年のお子様には有効な手段です。ただし、フィルタリングだけで安全が確保されるわけではないため、ネットリテラシー教育と併用することが重要です。

Q3．子供がネットトラブルに巻き込まれたらどうすれば良いですか？

A．まずはお子様の話を落ち着いて聞き、相談できる環境を作ってあげましょう。小学校や教育委員会、警察などの相談窓口に連絡することも検討してください。証拠となるスクリーンショットなどを保存しておくことも重要です。

Q4．ゲームの利用時間をどのように制限すれば良いですか？

A．お子様と話し合い、利用時間やルールを一緒に決めることが大切です。タイマー機能を活用したり、アプリの利用時間を制限する機能を利用するのも有効です。ルールを決めたら、守れているか定期的に確認し、必要に応じて見直しましょう。

Q5．教育アプリ以外に家庭でできることはありますか？

A．家族でインターネットの使い方について話し合ったり、ニュースで取り上げられたネットトラブルを題材に意見交換をするのも有効です。また、公共の図書館などで開催されているネットリテラシー講座に参加してみるのもよいでしょう。